西三局七本場

政治や世の中の出来事についての備忘録

安倍総理退任に際して思うこと

最初のトピックでブログを書いてから1年経ってようやく2回目の更新です。3ヶ月おきくらいには更新しようかと思っていたのですが、流石にいきなり間を開けすぎて己のいい加減さがお恥ずかしい限りです。

1年の間にも色々と世界・日本の情勢は動き、香港の民主化運動やBlack Lives Matterの運動など日本人としても決して無視できないニュースや、国内でも公務員の定年延長に関する法案や、コロナウイルスの流行など、次から次へと大きな問題が現れました。

そしてついに安倍総理が退任の意思を固め、誰が自民党の次期総裁になるかが大きな話題となっています。今回は安倍政権に関する評価と次期総裁選にあたって思うことを備忘録がてらまとめてみたいと思います。

 

安倍政権への評価

まずはポジティブに評価できる点を述べるとすると、まずは長期的に安定した政権を築いたことでしょう。当たり前のことですが、政治家が向き合うべき問題は多岐にわたり、目立たなくても大事な問題が山ほどあります。全てを完全にカバーするのはおそらく不可能に近く、適切に優先順位をつけてこなしていかなければならない状況では、安定して法整備を進められる強い政権が必要になります。

目玉の政策はアベノミクス以外あまり進展なく終わりましたが、コツコツと積み上げてきた仕事も少なくないわけですから、その点は評価したいと思います。安倍政権でなければなし得なかったことがどの程度あるかは分かりませんが、いずれにせよ一定の評価はしたいと思います。

 

ネガティブな評価点はなんといっても自民党の体質が悪化したことであり、先に述べたポジティブな点を打ち消して余りあるでしょう。森友学園の問題が発覚した当初は、正直私もあまり深刻に捉えておりませんでした。「総理や総理夫人も全くの無関係ではないようだが、人となりをよく知らない相手に協力してしまったというミスであり、不正に加担する意図はまさかないだろう。であれば、マイナスポイントにしても辞任するほどではなく、国政を進めるのが優先だろう」という具合ですね。

後に公文書改竄が発覚し自分が甘かったと気付かされたわけですが、それからも国家公務員法の強引な解釈変更の閣議決定などで不信を招き、桜を見る会の公文書管理については完全に開き直って無理を押し通す様で、全く呆れ果てました。

 

私が政治を評価する時に最も重要だと思うのは、結果として出てくる政策ではなく、そこに至ったプロセスの合理性であり、論理の整合性です。

多岐に渡る問題に関して、知識や経験、整理されたデータを一国民が把握することは難しく、そのために専門家である政治家に議論を委ねるわけで、私も種々の政策に対して確信を持って主張できることなどほとんどありません。しかし、提示された政策に対して論理の飛躍や矛盾があれば気付けますし、質問に対して論点をずらした回答をされれば分かります。

もちろん、持っている範囲の見識の下で自分の意見を持つようにしていますが、自分と意見の異なる政策でも提示された論理が整合していれば受け入れられるわけです。逆に言えば、どのような政策であれ意思決定のプロセスに納得できなければ不信を抱かざるを得ず、公文書が残らないなどということはあり得ないことです。

 

最も深刻なのは、そのような体質が安倍総理個人の問題というより、自民党内に広く蔓延しているように見受けられることです。あくまで体感ですが、自民党もかつてはここまで露骨ではなかったように思います。こう言うと「昔と変わらない」と言い返されそうですが、もしそうだとすれば昔は巧妙に隠せていただけのことであり、悪質なことに変わりはないでしょう。

今の自民党議員の中には、「国民の代表」というプライドを失い、「支持者の代表」という意識にすり替わってしった方が少なくないようにすら思ってしまいます。批判意見の中には的を外れたものや言葉が過ぎるものがあるのも事実で、野党議員からもその手の批判が出ることがあります。腹が立つ気持ちもよく分かりますし、反論するのも別に良いでしょう。しかしその手のレベルの低い批判のみをピックアップして論破し、本質的な問いに対してはまともに応じないというやり口があまりに横行していて、残念です。政治家、しかも第一党たる自民党の方々には、正面からぶつかって説き伏せていく粘り強さ、そして一つの意見に拘泥せず常に正論側に寄ろうとする柔軟さ(狡猾さとも言える?)を望みます。

 

メディアでよく挙げられる「レガシーがない」という点については、目立たない小さな仕事を確実にこなしていくことの方がトータルでは重要だと思っているのであまり気になりませんが、やりたい放題できる前例を作り、体質を改善しないまま残したという負のレガシーが大き過ぎて、総評としては低い評価をせざるを得ません。

 

次期総裁選について

次期総裁には、自民党の現状に危機感を感じて改善に向かって努力できる方を望みます。濁しても野暮なのではっきり言えば、石破氏を支持しています。私は個人的に結構石破氏を評価しており、前回の総裁選でも支持していました。今回も現状では厳しそうですが、どうにか頑張っていただきたいものです。

現状有力な菅氏個人に対しては特別思うところがあるわけではなく、有能な人だという声もさして疑ってはいませんが、今の自民党の体制を保持するための旗頭とされているのであれば支持できません。

 

今のところ総裁選では党員・党友投票を行わない見込みが強いようですが、そのような決定がふさわしい緊急事態に今が相当するのかどうか、疑問はやはりあります。石破氏の有利・不利に関わるという私の思いもありますが、安倍総理の会見では「新しい総裁を選ぶまでは続け、充分な準備をして引き継ぐから大丈夫だ」という話でしたので、矛盾しているように思います。ただしこれに関しては安倍総理の病状が実際には切迫している可能性もあり、もしそうであれば仕方ないかもしれません(だとしたら正直に言ってほしいものですが)。

 

誰が選ばれるにしても、納得できる方法と根拠をもって決められることを望みます。

 

今回は以上です。